ノリタケの歴史と名品
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   ノリタケの歴史とオールドノリタケ
ノリタケ(1981年に日本陶器からノリタケカンパニーリミテドに社名変更)は明治37年に設立されました
アメリカでは陶磁器の人気が高く、今後の有望な商品になると感じた森村組では、自分たちで製品を作り、
販売することを当時輸出していた陶磁器は、花瓶や置物など、有田焼や清水焼に代表される純和風な
デザインでしたが、商売を拡大するためには、日常使用する食器で、しかも白い生地に洋風な画付けを
する必要があり、また当時の生地はアメリカで望まれていた白生地とは異なっていたため、
純白なものでなければ食器としては不適当であると忠告を受け、先ず純白な生地への改良に取り組み
白生地の完成を見た森村組は明治37年1月1日、ノリタケカンパニーの前身となる日本陶器合名会社を
愛知県愛知郡鷹羽村大字則武(現在の名古屋市西区則武新町)に設立し、ここに日本の近代陶業が
が始まったのです。『ノリタケ』の名は、この地名にちなんで付けられ、商標も由来しています。
《オールドノリタケ》   
1800年代の末から第二次世界大戦前後頃まで、ノリタケカンパニーの前身である    
森村組と日本陶器で作られ主にアメリカへ輸出された装飾品(花瓶、壷、陶製人形、
置物、陶製化粧セットなど)とテーブルウェア・ディナーウェアの総称です。
それらのオールドノリタケは大きく2つに分類されます。
1つは明治18年頃から昭和10年頃までに主にアメリカに輸出された日本的な
デザインの商品を含むアールヌーボーを中心とした西洋画風のグループで、
もう1つは大正末期頃から昭和初期頃の短い間に流行したアールデコのグループです。
 ( 1 ) アールヌーボー様式
オールドノリタケの1910年代までの初期の作品の特徴はは手造りで複雑な曲線を持ち、
花や樹木などの自然をモチーフにし、淡いパステルカラーを基調とした点で、当時流行した
アールヌーボー様式の影響を強く受けています。
 ( 2 ) アールデコ様式  
大正時代末期の1922年頃から昭和初期の1929年頃の短い間にかけてはそれまでの
オールドノリタケのような高級な装飾品ではなく、機械によって大量生産が
可能なファンシーウェアが生産されました。これらはオールドノリタケの中でも
オールドノリタケファンの間で大変に貴重なコレクターズアイテムとして強い人気を集めています。
 ~オールドノリタケの技法~
アールヌーボーを中心としたオールドノリタケは以下のような技法に大きな特徴を持っています。
(1) 盛り上げ
  日本に古来から伝わる陶磁器の表面を立体的に装飾する技法ですが
  オールドノリタケの場合には、ケーキに生クリームを盛り装飾する方法と
  同じ理屈で、粘土を一陳(イッチン)と呼ばれるチューブのような道具から
  絞り出して盛り付ける方法が多く取り入れられました。
(2) 一陳による細かな粒状の盛り上げ
  和陶の世界では粒(チブ)と呼ばれる細かな点を多数盛り上げて装飾する方法
(3) 金盛
  白色泥漿で盛り上げた生地を下地にして刷毛や筆を用いて金を装飾し、
  800℃の温度で焼成すると金色の盛り上がりと塗り被せたところに金膜が出来上がります。
(4) 石膏型による技法(モールド)
  石膏が水を吸収することを利用した装飾方法。石膏型に装飾を施して型を作り、
  泥漿(液状の粘土)を流し込み、石膏が水分を適度に吸収した後に型から生地を抜き出す方法
(5) エッチング
  生地の特定の部分を酸で腐蝕させ、そこに金を施す方法。生地の腐蝕した部分には
  艶のない金の装飾、生地に腐蝕のない部分には艶の良い金の輝きが装飾される。
(6) タペストリー
  布目を生地の表面に表す方法で、生地の表面が乾燥する前の柔らかな時点で
  生地に布を貼り付けてから焼成する と、焼きあがった後の生地には布目が残ります。
  そこに、刷毛で彩色を施す方法。
(7) エナメル盛
  エナメルのような光沢のあるガラス状の盛り上げで、顔料により色々な色
  (ブルー、ピンク、茶色等)が使用されており、金盛と併用してアクセント的に使用された。
(8) ビーディング
  盛り上げの技法の一種で、一陳を用いて細かい粒状の盛り上げを一面または
  限られた範囲に展開する方法で、製品の繊細さと気品を高める効果がある。
(9) 転写技法
  同じ絵柄を大量に生産するための技法で、絵柄を印刷した転写紙を素焼き或いは
  本焼成した生地に貼り再度焼成し製品化する方法。
 
   
   
   
   

        
オールドノリタケには、約100種以上の多くの裏印が確認されております。これらの裏印は、
オールドノリタケのいわば戸籍であり、オールドノリタケの製造年代を知る上で重要な要因になります。
1)オールドノリタケの販売先による違い
海外輸出向けと国内向けの違い、海外輸出向けの場合は、販売先の国
(米国・英国・アジア・オセアニアなど)よって裏印が異なります。
2)オールドノリタケの材質・用途・品質の違い
材質別の場合、一般的な生地である硬質磁器製品とボーンチャイナ製品(軟質磁器製品)の違いで
裏印が異なります。用途別の場合、ディナーウエアーとファンシーウエアー(嗜好品)の違いによって
裏印が異なります。
3)オールドノリタケの製造年代による違い
これらの裏印の中には、各時代によって代わっていったものや、時代とは関係なく長期間使用された
裏印があります。
    前期製品群(森村組時代)・・・1885年~1903年
    中期製品群(日本陶器時代前期)・・・1904年~1921年
    後期製品群(日本陶器時代後期)・・・1922年~1945年
         
通称:メープルリーフ印について
使用期間 1891年頃~1915年頃(1891年に商標出願・1908年商標登録
色:グリーン・ブルー
分類:海外輸出向け(米国向け)、ファンシーウエアー、前期製品群(森村組時代)
   印のタイプ:転写3種、スタンプ1種
 

通称:ノリタケ‐RC印について
使用期間1906年頃~1921年頃(1915?頃)(1906年商標出願・1911年商標登録      
色:グリーン・ブルー
分類:海外輸出向け(米国向け)、ファンシーウエアー、中期製品群(日本陶器前半期)
印のタイプ:転写

通称:M-Nippon印について
  使用期間1911年頃~1921年頃 (1911年商標登録)
色:グリーン・ブルー・ピンク
分類:海外輸出向け(米国向け)、主にファンシーウエアー、中期製品群(日本陶器前半期
印のタイプ:転写・スタンプ
      

通称:ライジング サン印について
  使用期間1912年頃~1921年頃
色:ブルー・黒
分類:海外輸出向け(米国向け)、ファンシー・ディナーウエアー、中期製品群
(日本陶器前半期) 印のタイプ:スタンプ

通称:M-Japan印について
使用期間1921年頃~1941年頃(1921年商標登録)        
色:グリーン・マロン・ブルー・ピンク・藍色
分類:海外輸出向け(米国向け)、ファンシーウエアー・ディナーウエアー、
後期製品群(日本陶器前後半期)
印のタイプ:スタンプ・良質転写

通称:サクラ印について
   使用期間1924年頃~1935年頃 (1924年商標登録)
色:グリーン・マロン・ブルー・ピンク・黒
分類:海外輸出向け(米国向け)、ファンシーウエアー、後期製品群
(日本陶器前半期)  印のタイプ:スタンプ

チカラマチ印
   1928年頃1928年頃
色:グリーン、マロン
主税町にあった画付け工場の製品の裏印

通称:月桂樹-M印について
  使用期間1933年頃~1953年(1953年まで使用)
色:多色・金
分類:海外輸出向け・国内向け、ディナーウエアー、後期製品群(日本陶器後半期
印のタイプ:良質転写

         
通称:初期マルキ印について
  使用期間 1900年年頃~1910年頃
色:グリーン・ブルー
分類:海外輸出向け(英国向け)、ファンシーウエアー、前期製品群(森村組時代)
印のタイプ:転写

通称:マルキ印 英国登録について
   使用期間1906年頃~1925年頃(1905年商標出願・1908年商標登録 )
色:グリーン・ブルー
分類:海外輸出向け(英国向け)、ファンシーウエアー、中期製品群(日本陶器前半期)
印のタイプ:転写/スタンプ

通称:マルキ 印 日本登録について
  使用期間1910年頃~1941年頃(1911年商標登録 登録人森村開作氏)
色:グリーン・マロン・ブルー・藍・金(ピンクは戦後の製品のみ)
分類:海外輸出向け(英国向け)、ファンシーウエアー、中・後期製品群(日本陶器前・後半期)
印のタイプ:スタンプ・良質転写?

         
通称:ヤジロベー印について
使用期間1911年頃~1940年頃(裏印と共に昭和15年4.13の年号が押された記念品あり)
色:グリーン・マロン・ブルー・ピンク・藍・金
分類:国内向け、ファンシーウエアー・ディナーウエアー、中期・後期製品群
                     (日本陶器前・後半期)
印のタイプ:スタンプ・良質転写
     

通称:月桂樹-RC印について
  使用期間1914年頃~1950年頃(1914年商標出願、1926年商標登録、登録人ダーベー氏)
色:グリーン・マロン・ブルー
分類:海外輸出向け(インド・インドネシア)・国内向け、ファンシーウエアー・ディナーウエアー
          中期・後期製品群(日本陶器前・後半期)
印のタイプ:スタンプ

通称:月桂樹-日陶印について
  使用期間1933年頃~1943年頃
色:多色・グリーン・マロン・藍
分類:国内向け、ファンシーウエアー・ディナーウエアー、後期製品群(日本陶器後半期)
印のタイプ:良質転写

     1933年 オーストラリア             1935年 オーストラリア
       
                          
         
                
  ガレパターン(オレンジガレ)マグ
(明治24年)~
【盛り上げブルーガレ クッキージャー
(ビスケット・ティン)】1891年~
ガレパターン(オレンジガレ)
風景図飾り皿  明治24年~
           
   紫陽花にオオルリ図花瓶
  明治24年~
 梅花図花器(花瓶
 明治24年~ 
 風景文バスケット
 明治24年~
               
        カップソーサー        カップソーサー        カップソーサー 
              
     カワセミ絵飾り皿   波止場の婦人と子供図飾り皿
  1911年~
  松にルリビタキ文飾り皿
  1911年~ 
               
    金盛りエナメル沢潟図ランプ
    1891年
    金点盛り菊花図花器(花瓶
      1891年
   金点盛り菊花図花器(花瓶
       1891年
 
 
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